時刻は正午の12時過ぎ。大抵の人間なら皆、思い思いの昼食を食している頃合だろ
う。小学校なら給食、中学や高校なら弁当、大学生は――大学に行っていればだが――
学生食堂だろうか。因みに今は2月。大抵の大学は学年末休暇(春休み)である。
 そして本日は土曜日。多くの企業、学校教育機関が休む日である。かく言うこの俺、
千堂和樹も無論の事大学には行かず、実家にも戻らず、日がな一日漫画を描くかぼけー
っとするか、はたまたその辺をほっつき歩くかの、どこにでもある日常を送っていた。
――漫画を描く事はそれ程一般的じゃないって? ……言われなくても解ってるっての。

 それはそれとして、俺は今日の場合、午前中を原稿に費やした。講義が行われる期間
中と違い、気兼ね無しに漫画を描けるのがいい。――いつも気兼ねしてないと思われて
いるかもしれないが、俺は、大学一年目を無事に乗り切ることが出来た。瑞希、そして
“とある女性”に、噛んで含めて諭すように、丹念に丹念に、“単位を落とすな”と
厳命されていて、流石にそこまで言われては――瑞希はともかく――、無視する訳にも
いかなかったのだ。

 そして今、俺は何をしているのかと言われれば、外出中である。散歩、と言ってもい
いかもしれない。昼食はまだだから、散歩のついでにどこかで飯を調達するつもりだった。


 季節は春。いや、春の入り口と言った方がいいだろうか。冬の盛りとは明らかに違う
穏やかな風が吹き、街路樹の枝も緑がかっている。冬服の厚着のままでは、事によって
は汗すら吹き出てくるほどだ。それに、太陽も実に清々しい陽光をさんさんと放っている。
 春の陽気に誘われて……という事でもないのだろうが、昼食を外でとっているサラリ
ーマンやOL、部活帰りの中学生・高校生の姿が目立つ。

 と。

 高校生、という単語で気になった訳でもないのだが、駅前のベンチに座って談笑して
いる高校生の昼食の、ファーストフードが目に入った。


 ハンバーガーか……


 考えてみれば、大学に入ってこっち、ファーストフード店に殆ど入った事がない。
高校時代、瑞希に大志の3人で、そこそこよく行ってたのだが。メニューを選べば、か
なり安上がりになるので、大志などはよく『極めて理想的且つ有効な栄養補給手段だ』
とほざいていたものだ。つまり、間食や嗜好品としてではなく、れっきとした食事とし
てあの野郎は食っていたのである。やれやれ。

 ぐるるるぅ……

 情けない音が腹から響く。

「……………………」

 そんなわけで、本日の昼食は●ックのハンバーガーと相成った。







彼女の好きな味
Written by Ranke







『ありがとうございましたー!』

 マニュアル通りの元気な掛け声の店員に見送られ、テイクアウトしてきたメニューを
持って適当な場所を探す俺。微妙に昼の盛りを過ぎていたためか、食べている姿はまばら
だった。きょろきょろと周囲を見回していると、意外な人を見つけた。


 南さんだ。


 春によく着ていた、ピンク色の上着に紺のタイトスカートと言う出で立ち。特徴的な
黒縁ハーフフレームの眼鏡。うなじの辺りで結わえられた柔らかそうな髪の毛。
食べ物の頬張り方は非常に子供っぽくも見えるが、その笑顔は穏やかで、この笑顔だけ
が彼女を歳相応に見せている。

 南さんはがつがつ食べるタイプの人ではないが、なぜか今この時だけは、声をかけ辛
く感じた。本当に只何となく。理由もなく、声をかけるのが躊躇われた。

 とは言え、普段見られない南さんの貴重な1シーンである事には変わりないので、俺
は悪趣味にも、南さんが食べ終わるまで待つ事にした。

(うーん、可愛いですよ、南さん♪)

 口調を変えれば、親友の活躍シーンをDVで撮影するのが趣味の、某国営放送アニメ
の某お嬢様キャラ
と同じ様な科白を思い浮かべつつ、何気ない日常に彩りを――己の
ために――添える俺。
 普段手肌を痛める仕事をしているとは思えないほどに細く、白い指。その指に掴まれ
たハンバーガーが、これまた魅惑的な淡いピンクの唇に吸い込まれてゆく。齧る際の唇
の締め方も、見ようによってはかなり扇情的な光景に映る。無自覚な色気、とでも言う
のだろうか。齧って、咀嚼する際の口の動きも、気にし出すと無性に艶っぽく見える。
そして、嚥下。こくん、と俯き気味だった喉を心持ち反らせ、薄く目を瞑るその表情は
非常に艶かしく、彼女が男を惑わす、“惑乱の淑女”である事を強く意識させた――

 といったところで彩り終了。
 何やら妙な単語が混じっていた気がするが、気にしたら負けだ。

 ――因みに、俺は逃げも隠れもしていない。南さんの正面2メートル程のベンチに座
って見ているだけである。それでもなお、南さんははむはむ、もぐもぐという可愛らし
い咀嚼を続けている。先述のように非常にグッとくる映像ではあるのだが、流石にここ
まで気付いてもらえないと、知り合いとしても一人の男としても、うすら寂しいものが
ある。

 仕方なく、南さんが最後の一口を嚥下するタイミングを見計らい、声をかける事にした。


「みーなみさんっ」
「えっ?」
 と、やはり気付いていなかった様子で、見当違いの方向をきょろきょろと見回す南さん。

「こっちですって、南さんの目の前」
「あ……和樹さん」
 南さんは俺を見た後、一瞬呆けた顔をした。その表情からは、“どうしてここに?”
とか、“いつからいたの?”とか、“もしかして食べてるところ見られたの?”などと
いった、凄まじく判り易い困惑の感情が見て取れた。

「自分も昼ご飯食べに来たんすよ。テイクアウトしてきたら、丁度よく南さんがいるじゃ
ないですか。話し掛けようかなー、とは思ったんですけど、何となく声をかけ辛かったの
で食べ終わるまで待ってたんです」

 と、南さんの疑問に(まだ口にしてないけど)、判る範囲で律儀に答える俺。
 すると、みるみるうちに南さんの頬が真っ赤に染まってゆく。

「やだ……見てたんですか?」
 数ヶ月前にも聞いたことのある科白を口にして、少し責めるような眼差しを向ける。
「あ……、ごめんごめん、すみません、南さん。悪気は……多分なかったかも」
「………………」
 俺の言い訳(?)に、南さんはやや複雑な表情をしたものの、すぐに“しょうがない
ですねぇ”という顔をして、いつもの微笑を見せてくれた。

 うーむ、さすが南さん。今の状況で瑞希が相手だったら、
 『全っ然フォローになってないじゃない!!』
 といった科白と共に、拳骨がくるか、テニスラケットか釘バットのフルスイングか、
そうでなければ踵落しの餌食になってただろうな。


「いつ頃からいらしてたんですか? どうせでしたら声をかけてくれてよかったのに…」
 今度は俺がハンバーガーを齧りつつ、態々一緒に残ってくれている南さんと喋る。
「んぐんぐ……。いえ、ホントはすぐにでも声かけようと思ったんですけどね。何でか、
声をかけるのが少しだけ、躊躇われたんです。“ああ、今は声をかけちゃいけない”、
て。あえて理由をつけるなら、本能……ですかね」

 紛う事無き本音を言う。声をかけない事を決めた後の行動は、俺の悪戯心から発した
ものではあるが、“声をかけない”事を決めたのは間違いなく無意識なものである。

「本能……ですか」
 やや困惑した様子の南さん。まあ、困惑するのも無理ないだろうな。大体、人に話し
掛けない理由を“本能”の一言で片付ける自分もかなりのキワモノだ。親が聞いたら、
先ず間違いなく“漫画の読みすぎだ”というだろうな。――実際は読んでるんじゃなく
て描いてるんだけど。

「やっぱ変ですかね?」
 と、苦笑しつつ問い掛ける。両手が塞がっていなければ、頭をぽりぽりと掻いていた
かもしれない。

「変じゃないですよ、多分」
「え?」
 南さんは素直というか、お人好しと言うか、こちらの予想通りの返答を返してきた。

南さんは、人の欠点すらも究極的に長所の一部として考えられる人だ。この程度の事な
ら、恐らく「変じゃない」とは言ってくると思ってたけど、あまりにも予想通りだった
ので少し拍子抜けしてしまった。

「南さん、別に気を遣う必要のない場面ですよ、ここは」
「いいえ、和樹さんはとっても鋭い勘をしてますよ。だから、変じゃありません」
 と、いつもの笑顔とは少し違う、近い例えを上げるなら“懐かしい、昔のアルバムを
開いた時の笑顔”のような表情を見せた。

「………………」
 南さんの表情が何となく気になったものの、いきなり訊くのもどうかと思い、何気な
い話題はないだろうかと思案した。

「まあ、それはいいんですけど、こんな時間まで外に残ってて大丈夫ですか? 仕事途
中の昼休みでしょ、今」
 南さんのスケジュールは大体解っているので、少し心配になる時間だ。

「ええ、今日は大丈夫です」
 と、先程までの表情から一転、いつもの表情に戻ってくれた。
「今日は?」
「はい。実は、我らがこみパ準備会も、この春へ向けて本格的に『あいてぃーかくめい』
というものをするそうで、事務所に大規模な『ねっとわーくしすてむ』とかいうものが
入るそうなんですよ。それで、端末の『せっとあっぷ』とかを今日色々するらしくて、
事務所の皆さんが総出で頑張ってらっしゃるんです」
「へ、へ〜。そうなん、だ……」
 何となく、展開が読めてきた。

「それで、私も何かお手伝いできる事ないですか、て訊いたんですけど、なぜか皆さん
揃って「大丈夫ですから」って遠慮なさるんですよ。そればかりか、忙しいはずなのに
私だけ半ドンで上がってもいいですよ、とまで言って下さるんです。それじゃ申し訳な
い、と断わろうとしたら、「お願いですからしっかり休んでください」、と泣いて懇願
されまして。流石にそこまで言われたら無下に断わるわけにもいきませんし、折角です
からお言葉に甘える事にしたんです。
 でも、頑張って下さるのは嬉しいんですけど、ちょっと寂しいものがありますねぇ」
「あはは……、そ、そうですねぇ」

 やっぱり……。
 どうやら、南さんの終末的メカ音痴振りは、周囲の人間にとって周知の事実のようだ。
みんな遠慮してるんじゃなくて、これまでの作業を台無しにされたくないから、敢えて
心を鬼にして、「何があっても南さんにコンピュータを触らせるな」戦線を張っている
というわけだ。――南さんには酷な話だけど。


 とりあえずこちらも食事終了――

「まあ、南さんが今、ここにいられる理由はわかりましたけど……」
「けど……、なんですか?」
 と、南さんが横から俺の顔を覗き込んでくる。俺は改めて南さんの容姿を見渡す。

 よく梳られた、滑らかで柔らかそうな髪。骨張った所のない、丸みのある輪郭。
「女性」を強く印象付ける、幅の狭い撫肩。それらを彩る、瑞々しく肌目細やかな肌。
そして、流行モノを悉く排除しながらも、センスのよさを感じさせる洋服のセレクション。

 どう考えても、ファーストフードで食事をとるようなタイプには見えないだろう。
思った事を口に出すのはあまり行儀のいいものではないが、何となく興味深かったので
訊いてみる事にした。


「最初見たときも思ったんですけど、南さんがこういうファーストフードで食事摂るの
って意外でした。よく行くんですか? ●ックとか」

「そうでもないですよ。いつもは自分でお弁当作ってお仕事に行きますから」
 そういえばそうか。南さんて長野の農家出身で、昔から料理は得意だったんだっけ。
「それじゃ尚更意外ですね。南さん、もしかして寝坊してお弁当作れなかったとか?」
 少し意地悪な口調で訊いてみる。すると、南さんは予想通り、少し照れたような苦笑
を浮かべた。
「実は……そうなんです。偶にやっちゃうんですよ、お寝坊さん」

「でも、そこでまた●ックに行くのも意外です。南さんて、いつぞやの喫茶店みたいな
所に行くのが普通だと思ってましたから」
「うーん、そうですか? 私がああいうお店に行くようになったのは、上京して、先輩
に連れていってもらったのが最初ですから、結構最近なんですよ」
 と、南さんは俺の言葉に、少し意外そうな表情を浮かべた。

「それに、ハンバーガーは、私の中では結構特別なんです」
 南さんの顔が、先程の懐かしいものを見た顔になる。
「特別? ハンバーガーがですか?」
「はい。大分昔の話ですけど……、和樹さんにはお話ししましょうか」



	>>>>>>



 私の実家は農業一家でしたから、必然的に食事は和食中心になります。お米や味噌、
醤油なども自家製でした。余裕のある時にはお酒も造ったりしたことがありましたね。
お父さんもお母さんも、私が小学生の頃に40を超えてましたけど、そうとは思えない
ほど元気で、農家にとって厳しい時代でもへこたれる事無く、雨の日も風の日も、毎日
頑張ってました。私も農家に生まれた以上、そういったお仕事を少しずつ手伝っていま
したけど、毎日色々な仕事を覚える度に、平気な顔で作業しているお父さんとお母さん
を、凄いなと思ったものでした。

 生粋の農家一家でしたけど、それでも何らかの事務手続から解放されるという訳でも
ないですし、時には街まで出かける事もあったんです。そういう時は、私はいつでも
お父さんについていきました。何故だと思います?

 私は、色々な人の顔、笑顔、瞳を見る事が好きな子供だったみたいで、人見知りする
事が殆どありませんでした。地元の町は人がそんなに多くないですから殆どの人と顔見
知りで、ご町内の人ほぼ全員がご近所さんみたいなものでした。そんな時に、都会の方
へ行けると思った時、私は随分と喜んだ覚えがあります。
 案の定、街へ出た私ははしゃぎ通しで、お父さんを困らせてたみたいです。見るもの
聴くもの全てが珍しくて、7歳の子供にとっては、まさに夢の世界も同然でした。街で
すから、周りを見渡せば、図書館で読んだ本でしか見たことのない、洋風のお店が沢山
並んでいて、そんなお店を見つけては入ってみたい、と駄々をこねた事も数知れず。
そして、子供心に最も関心が高かったのが、当時ブレイクしていたファーストフード店
でした。小学校のお友達の中には既に何度も食べた事のある子もいて、その話を聞く度
に、好奇心と食欲の旺盛な子供たちは、経験者(笑)を羨ましがったものです。今思う
とおかしいですけど、ある種のステータスだったのかもしれませんね。
 そんな時でしたから、街へ出られるなら、ファーストフード店には絶対入って見たい、
と思い、お父さんにもそう言いました。お父さんはあまりいい顔をしてくれませんでし
たけど、不承不承、了承してくれました。

 そして、いざお店に入ったはいいんですが、私は言わずもがな、お父さんも勝手の知
らないお店ですから、注文を取るのも一苦労で、漸く注文の取り方が解ったのが、お店
に入って30分後でした。お父さんでは結局駄目で、私が恐る恐る注文しようとしたら、
元気な店員さんに応対してもらえて、そこで……。
長らく憧れていた上、お店の中でも待たされた分、初めて味わったハンバーガーの味は、
長らく忘れられない味になりました。殆ど毎日和食生活で、唯一、牛乳やすき焼き位が
純粋な和食じゃない食生活でしたから。そこまで凄く美味しかったわけじゃない、けど
普段食べる事が出来ない、特別な食事の特別な味。いつもの食卓とは雰囲気も何もかも
が違う場所で何かを食べる事の、言いようのない高揚感。――そう、お祭。縁日の夜店
で食べる、綿飴や焼きソバの味のような、説明できない満足感。それ以来、街に出かけ
る事がある度に、私は“お祭”に出かけ、“ファーストフードの夜店”でハンバーガー
を食べました。その頃、ハンバーガーは私の中で特別なもの、となったんです。



	>>>>



 なるほど……。ハンバーガーを食べてた時の子供っぽい雰囲気や、声をかけ辛く感じ
たあの特殊な雰囲気は、そのためか。

「何となく、解る気がしますよ。南さんの気持ち」
「そうですか?」
「ええ、自分も無邪気な頃は、そんな感じだったと思いますし。ただ、身近にある事を
自覚し始めた時から、有り難味は薄れましたけどね」
 と、苦笑を浮かべる俺。見ると、南さんもくすくす、と笑っている。

「上京してから、和樹さんの言うように有り難味が薄れたのと、漫画の祭典、こみっく
パーティーという新しいお祭を知ってしまった事もあって、ここ数年は全くハンバーガ
ーは食べてませんでしたから、何となく懐かしくなって、ついふらふらと。ふふっ、小
学生の頃とはいえ、自分の過去を懐かしむなんて、私ももうおばさんですねぇ」


「そんな事ないですよ。全然若いですって。同級生と勘違いするくらい」
 言葉の表裏に、“若い”を強調する俺。普通の人には逆効果だが、南さんには――
「そうですか? でも、人間、20を過ぎると時間が早く過ぎますから、和樹さんも後
後悔いの残らないように頑張らないといけませんよ?」
 ――無効だったようだ。

「そういえば、大学1年目の成績はどうでした?」
「ああ、南さんにはまだ言ってませんでしたね。お陰さまで、一つも落とさずに1年目
は終えられましたよ。誰かさんの応援のお陰で」
 誰かさん、とは当然、目の前にいる女性のことだ。冒頭で語った“とある女性”でも
ある。――はずだったのだが。

「そうですか、その誰かには感謝しないといけませんね」
 当の彼女は、爽やかにそう仰ってくれました。
「…………………(汗)」
 南さんの事だ。誰か=自分 なんて図式、恐らく夢にも思ってはいまい。それが解っ
てしまう分、余計に自分が空しく思えた。

「そういえばですね、この前先輩が――」

 そんな俺の気持ちを他所に、南さんはまた一つ、話し始める。
 俺は内心溜息を吐きつつ、それでも彼女を微笑ましく思ってしまうのだった。



 結局、昼過ぎから4時近くまでの話の中で、また一つ、南さんという人物を知る事が
出来た気がした。天然にも感じるけど理知的にも思えて、浮世離れしてるようで世慣れ
していて、何も知らなさそうでいて何でも知っているような南さん。大きな都会の小さ
な一角に留まって、小さく狭い風景しか見ていない自分などより、ずっと大きな世界に
生きて、壮大な景観を一望している南さん。それはある意味、自分が求めているものと
同じ種類のものの様に思えた。自分が漫画の果てにあると信じている、遥かな高みと――

 そう、それはお祭で味わえる味の中でも最高のもの。決して誰もが味わえると言う訳
じゃない。こみパという、でっかいでっかい、本当に特別なお祭を制した者が味わえる、
特別な味。それは、祭に参加できる人間の特権だ。だから、俺はこみパで漫画を売る以
上、その全てを味わい尽くしたい。

 彼女(南さん)がお祭の中だけで味わえる特別な味が好きなように、俺もまた、こみパで味わえ
る特別な味が好きだ。そう言う意味で、彼女と同じ気持ちでいられる事が、この上なく
嬉しい。


 祭囃子の響く夜は ただそれだけで夢の一時
 祭囃子が鳴らす音は ただそれだけで夢への誘惑
 祭囃子を聴きながら 味わう味は 夢の味
 あのこのすきな 夢の味

 それは  彼女の好きな味――







  −了−




執筆後記(あとがき)


 前半ギャグ、後半以降どシリアスという、えらく中途半端なSSになってしまいました。
こんな駄文に解説は必要ないでしょうが、一応コメントをば。


・時間軸やシナリオ
 はっきりいうと南さんシナリオじゃないです(爆


・南さんの家と過去
 RankeのこれまでのSSを読んでいただければお解りでしょう、言うまでもなく筆者
の妄想です(笑


・お祭が云々
 ギャグからシリアスに持っていく中で浮かんだネタで、唯一よさげと思ったネタ。
でも、話全体から見るとかなり浮いてる気がする……。


欄外:読み返してみて(しみじみと)思った事
 これでも、こみパ本編のイベントシーンを意識して書いてたつもりだったらしい。





 こんなところで。作者にビシッと一言言ってやりたいと思われる方は、こちらまで。
筆者は2月から3月いっぱい暇してますから、その間に送っていただいた方には、
もれなく筆者の『ありがとうメール』が届きます。――え? いらない? やっぱり。





それでは、また(あれば)次のお話で――








  Back  




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送