カチ・・カチ・・

2月14日、AM1時

その部屋には規則正しい時計の音だけが響いていた

ギシ・・ギシ・・

誰かが階段をおりてくる音がきこえてきた

周りをきょろきょろと確認し、誰もいない事を確認すると電気をつけた

そこは台所だった。電気をつけた張本人はかわいい女の娘だった

その女の娘はピンク色の髪をしたロングヘアーで、パジャマだった

エプロンを身に付け、長い髪をポニテし、冷蔵庫からある袋をとりだした

その女の娘の名前は『立川 郁美』。今何をしようとしているのかというと・・

郁美『チョコをつくるんです!』




    一日遅れのバレンタイン




郁美『さてと、まずは買ってきた板チョコを細かく刻んで・・・』

大量の板チョコが入った袋から必要分とり、包丁をとりだした

郁美『今日は朝からずっと一緒にいたいな〜。
   朝ご飯とお昼ご飯は私がつくって、午後からは原稿のお手伝いして。
   夜になったらデートして、レストランで食事して、それから・・・。
   えへへ、夜の公園でチョコを・・・おいしいって言って欲しいなぁ〜。』   


包丁を右手にもち、チョコを刻みはじめた

そして、一時間後・・・

郁美『ふぅ、やっと刻みおわった〜。』

まな板にはようやく刻み終えたチョコが山盛りになっていた

郁美『キャベツの千切りみたい・・・ってそんな事言ってる場合じゃなかった。
   次、次〜・・・                          』

ステンレスボールや鍋などの道具を棚からとりだし、一生懸命に作業をする郁美ちゃん
その姿をドア越しにのぞくストーカーが・・・

雄三『・・・・』

い・・・

雄三『・・・』

すいません

雄三『ふむ。しかし、郁美のやつ。下が少し騒がしいと思ったら。
   まさかその日につくるとは・・・、何事もなければよいのだが。』

そんな兄にあたたかく見守れながらチョコづくりに励むが、しかし・・・

郁美『あっ!お湯がチョコに!と、とらなきゃ・・ええと、周りのチョコも一緒に・・・』

あぁ、そんなゆっくりだとこげ・・・

郁美『あぅ!なんか焦げ臭い!って、あああーーー!!焦げちゃった・・・』




郁美『うぅ、今度こそ!』

現時刻 AM2時30

郁美『・・よし・・・よし』

さっきよりさらに真剣な表情で溶かしにかかった
お湯もはいらずいい感じだ・・

郁美『このまま・・・このまま・・・・ああ!』

?一体なにが・・・?

郁美『温度はかってなかった!!ええと!・・・』

とっさに温度計をとりだし、チョコの温度をはかりはじめた

郁美『・・・』

沈んだ表情の郁美ちゃん・・

郁美『50度こえてる・・・もう一回!
   和樹さんのためにおいしいチョコつくるんだから!!』

気合十分、頑張れ!

そんなこんなで、
数々の失敗を・・

居眠りしちゃった!!

氷水じゃないのにーー

しながらも、小さいハート型にチョコを流し込み冷蔵庫にいれることができた

郁美『やっと・・・終わった・・・後は、もっていく・・・・・・・・だ・・け。』

ズル・・・ズル・・・ドスン

郁美『くー・・・むにゃ・・・かず・・き・さん・・・くー・・』

冷蔵庫を背にその場に座りこんでねてしまった

雄三『ふぅ、やれやれ。
   郁美、そんなところで寝たら風邪ひくぞ。』

ゆさゆさ・・

雄三『郁美?・・・』

郁美『くー・・・』

雄三『ふぅ、仕方ないな。』

ひょい

小柄な郁美ちゃんの体を抱きかかえ、部屋までつれてゆき、布団にねかせた

雄三『よく・・頑張ったな。今は眠れ。
   しかし、台所の片付けが大変だな・・・。』

現時刻 PM7時








郁美『う〜ん・・・・ふわぁぁ・・!!い、今何時!?』

バタバタバタ!
ガタガタ!・・・

郁美『えっと・・えっと!・・あ!携帯も時計も下にもっていっちゃったんだっけ!?
   ・・う、腕時計!腕時計は!?机、机の引出しに・・・           』

ガタ・・ガタガタ!

郁美『あった!!
   えっと、時間は・・ほっ、なんだ、7時か・・・よかった〜。
   じゃあ、着替えて和樹さんのところに・・・         』

着替えるため、カーテンを閉めようと窓に振り向いた
そこには・・・

郁美『・・・あれ?今は朝のはずじゃ・・・』

暗闇の中、月に照らされた街並がひろがってた

郁美『ひょっとして・・・夜の7時?
   ・・・い、急がないと!!   』

事の事態に気付いた郁美ちゃんは、かねてからきめておいたかわいい洋服に着替え
一気に下の台所までかけていった

バタン!

雄三『起きたか、郁美。』

郁美『チョコ!チョコ・・ラッピング!!』

雄三『ああ、チョコなら安心しろ。
   今日、か・・・       』

郁美『安心なんてできない!』

神速のスピードでラッピングをおわらせ、リボンをつけおえた
出来は立派なもので、まさに神業である

郁美『いってきます!!』

バタン!!

雄三『・・・はっ!』

郁美ちゃんの剣幕にさしもの兄も少しびっくりしてしまったようだ。

雄三『和樹なら今日くるようにいっておいたのだが・・・。
   ふむ、郁美の携帯は・・・わすれていったか・・仕方ない。』   

そういうと、椅子から立ち上がり、電話をかけはじめた

テゥルルルルル・・・・テゥルル・・・がちゃ

??『もしもし?』

雄三『郁美がそっちにいった、よろしく頼む。』

??『あっ、雄三さん・・って、えっ!?自分がいくはずでは・・?』

雄三『その予定だったのだが、郁美がその事を聞く前にとびだしてしまってな。』

??『そうだったんですか。わかりました、今すぐ戻ります。』

雄三『ん?今は家にいるのではないのか?』

??『その予定だったんですけど・・・』

由宇『何電話しとるんや!?はようこんかい!?』

??『ちょっとまて!』

雄三『・・・』

??『という感じでつかまってしまいまして・・・。』

雄三『・・・浮気か?(ちと怒り)』

??『ぶっ!ち、違います!俺は郁美ちゃん一筋です!!』

雄三『・・ふっ。何、冗談だ。気にするな。』

??『全く・・・そんな冗談やめてください。』

雄三『すまんな。では、よろしく頼んだぞ。』

??『はい!』

ぶち・・・つーつー・・

雄三『・・・さて、どうしたものか。様子をみにいくのもいいが。
・・感動的な場面に水をさすのも野暮というものだな。
   幸い今はそこまで寒いわけでもない。
郁美も厚着だったから風邪を引く事もあるまい。やつに任せるとするか。』

その頃・・・

郁美『ハァ・・ハァ・・ハァ・・・はやく・・』

全速力ではしっていた
一分でも、一秒でもはやくあいたい。このチョコをわたしたい。
その想いが郁美ちゃんの足を動かしていた

郁美『ハァ・・・ン・・あと少し。』

和樹の住むアパートがみえてきた

郁美『ラスト・・・スパート・・!!』

のこりの体力、いや全ての気力をふりしぼって走った
体力は限界をむかえていた。あとは『想い』だけ

タッタッタッタ!

そして・・・

郁美『つい・・・』

タッ・・・

郁美『・・・た。』

呼吸もままならず、肩で大きく呼吸していた
あとは和樹の部屋にいくだけだ

郁美『ハァ・・・・ハァ・・・・・ふぅ〜。
   和樹さん・・・今、いきます。   』

和樹の部屋の方向を向きそうつぶやいて足をすすめた

郁美『和樹さん・・・おいしいって言ってくれるかな・・・』

期待と不安が郁美ちゃんの胸をしめていた
しかし、大好きな人に自分でつくったチョコをプレゼンとできるという事がすごく嬉しかった
一生懸命つくったチョコ
そのチョコを自分の足でとどけ、わたす
年に一度の特別な日にとびっきりの服をきて、かわいくおめかしをする

なにもかもが初めての体験だった
手術が成功して初めてのバレンタイン
そんな今日という日が、郁美ちゃんにとってはすごく嬉しい

だから、期待と不安が胸をしめていたとしても、そう感じる事さえも嬉しい
それに、和樹なら笑ってくれる
少し失敗したとしても、笑って『ありがとう』といってくれる
そんな和樹だから、郁美ちゃんは大好きなのだ

郁美『・・・よし。』

ピンポーン・・・・

シーン・・・

郁美『・・・あれ?
   もう一回・・ 』

ピンポーン

シーン・・・

郁美『・・・寝てるのかな?
   そっと入っておどろかそう。』

ガチャ・・ガチャリ

キィィィィ・・・

郁美『お邪魔しま〜す。』

郁美ちゃんは和樹から合鍵をもらっており自由に出入りができるのだ
それでも、呼び鈴をならすところが礼儀正しい

郁美『・・・』

シ〜ン・・・

真っ暗だった
和樹の部屋は静寂が支配していた
台所には食器がおきっぱにしてあり、ベッドもおきたまんまという感じだった
蛇口から時折落ちる水の音と時計の音だけがこの部屋を支配していた

郁美『和樹さん?いない・・・の?』

反応を求めるように少し大きめに声をだしてみた
しかし、和樹の声が返ってくることはなかった
水の音と時計の音だけが返事をしていた

郁美『・・おでかけ?それとも、いじわる?』

こころなしか郁美の声はふるえていた
ちょっとお出かけしてるだけという可能性もあるが、郁美はすごくさびしかった

郁美『・・・さがしてみよう。』

耐えられなくなった郁美ちゃんは、
ベッド・台所・お風呂・冷蔵庫の中・押入・ベッドの下と隅々まで探し始めた
しかし・・・

郁美『・・いない。』

一通り探し終え、チョコがとけないように冷蔵庫にいれておいた
そして、ベッドに倒れるように座った

バフッ!

郁美『そうだ!携帯に電話してみよう!
   ええと、携帯は・・・忘れてきちゃった・・・じゃあ和樹さんの家の電話で。』

ピポパ・・・テゥルルッルル・・・テゥルルルルルッルル・・・・

郁美『・・・でない。』

その電話から和樹の声が聞こえることはなかった

郁美『・・はぁ。』

ため息をひとつ
期待の分だけため息もでかい

郁美『・・・ひろいなぁ。』

なぜか和樹の部屋が広く感じられた
いつもは和樹と一緒だからというのもあるのかもしれないが、今日は少し違う
いつも以上にさびしいのだ
好きな人と少しでも長くいたい。
そう感じるのは当然の事でもあり、郁美ちゃんはその想いが人一倍つよい
今すぐ結婚したいという郁美ちゃんを説得するのはそれはもう大変だった
それだけに、少しでも和樹と離れるだけでも『寂しさ』を感じる
そんな郁美ちゃんにとっては、今回の事はとてもつらかった

郁美『和樹さんの・・・バカ。』

そうつぶやき眠りへと落ちていった
ここまでダッシュできた疲れと、寂しさもあいなってすぐに眠りへと落ちていった
チョコ作りの時の疲れも残っていたのかもしれない
郁美ちゃんの体力はまだ、もどりきっていないから

それから10分後

ガチャガチャ・・・バタン!!

和樹『郁美ちゃん!!』

スゴイ勢いで部屋にはいってきた

和樹『郁美ちゃん!?』

バッグもおかず、電気もつけず一心不乱に自分の部屋を探した
そして・・・

郁美『スー・・・スー・・和樹・・・さん・・・』

和樹『はぁ・・はぁ・・・・いた・・よかった〜。』

安心した和樹は一気にその場に座り込んだ

郁美『・・・かず・・・き・・さん・・・くー』

和樹『・・なんだい?』

郁美『・・バカ・・・』

和樹『ぷっ・・・・ははは・・・ごめんね、郁美ちゃん。』

そう言い、郁美ちゃんの頬に軽くキスをすると、毛布を上からかけ風邪を引かないようにしてその場を離れた





郁美『んん・・・』

―郁美ちゃんの夢―

郁美『ん〜・・・あれ?私一体・・・』

和樹『郁美ちゃん!』

郁美『和樹さん!』

和樹をみつけすぐにかけよった

郁美『ひどいですよ!!家にいったら和樹さんいなくて、チョコもってきたのに。
   私、すごくすごくすごーーーくさびしかったんですから!!       
   携帯に電話もしたんですよ!                     』

和樹『ごめん!すぐに帰るつもりだったんだけど・・・。
   携帯みたときには家の前にいてね。       』

郁美『ふんだ!私、許しません!!』

和樹『え!?ほんと、ほんとごめん!!だから機嫌なおして、ね?』

郁美『・・・(つーーん)』

和樹『ぐはっ!・・・ほんとごめん。』

そうささやくようにいって、ほっぺに軽くキスをしようとしたそのとき



郁美『・・・はえ?』

夢はさめた

寝ぼけ眼でおきだし、おもむろに頬に手をあてた。

郁美『・・・はぁ、もう一回寝なおそう・・かな。』

きた目的をちょっぴり忘れていた

和樹『おはよう、眠り姫。』

すぐ横で椅子にすわっていた和樹はそういった

郁美『あっ、おはようございます。』

和樹『うん。大丈夫?疲れはとれた?』

郁美『あっ、はい。大丈夫です。』

郁美ちゃんはまだすこし寝ぼけていた

和樹『まだちょっと寝ぼけてるな。』

そう思った和樹は、体をいくみの方に向け、起きたばかりの郁美ちゃんに

郁美『・・・!!』

キスをした

軽く唇をあわせるキスだ

和樹『目、さめた?』

突然の出来事に郁美ちゃんの顔は一気に真っ赤になった

和樹『起こそうかとも思ったんだけどね。
   寝顔がかわいかったからつい、ね(アハハ)。』

郁美『・・ぶぅ、和樹さんのバカ。』

和樹『あはは、1日に2回・・・・いや、日は変わってるから違うか。』

郁美『・・・え?あの、今何時ですか?』

和樹『えっと・・12時5分だよ。』

郁美『!!えっと!えっと・・』

和樹『チョコなら冷蔵庫だよ?』

郁美『はい!そうです!って何で知ってるんですか!?』

和樹『いや、冷蔵庫開けたらあったから。
   おいしかったよ。        』

郁美『ほんとですか!?よかった〜・・・って、え?
   食べた・・・んですか?           』

和樹『うん・・・っていう・・』

郁美『!!・・うっ・・・ううっ・・・な、なんで(涙声)。』

和樹『え?いや、今のはじょう・・』

郁美『なんでたべたんですか!?せっかく、自分の手で和樹さんにわたしたかったのに・・
   初めてのバレンタインで、はじめてチョコつくって、何度も失敗したけど・・
   それでも一生懸命つくって・・・自分の手でわたして・・・
   おいしいって・・・期待して・・とっても・・嬉しいけど・・・でも』

大粒の涙をぼろぼろと流して、かわいい顔がクシャクシャになって
もうしゃべるのも途切れ途切れで、それでも精一杯想いをうちあけて
そんな郁美ちゃんの姿に悪い冗談をいってしまったと、和樹はひどく後悔した
今となっては、どんな言葉をかけるよりも、すべきことは一つ
それは

ギュッ!

行動だ!

目の前で泣きじゃくっている郁美ちゃんを優しく、力強く抱きしめた
そして耳元でささやくようにいった

和樹『ごめん。今のは冗談だったんだ。
   冷蔵庫にあるのはあけた時にわかったけど、食べてないよ。』

郁美『・・ひっく・・ほんとう・・・ですか?』

和樹『本当だよ。郁美ちゃんから手渡しで貰ってから食べたかったからね。
   さわってもいない、みただけだよ。               』

郁美『うぅ・・本当の・・・本当ですね?』

和樹『本当の本当。だから泣きやんで。
   こんなとこみられたら雄三さんに何をされるか・・・。』

軽い冗談をまじえつつ、郁美ちゃんの涙を指でぬぐった

郁美『・・クス、じゃあ、許してあげます。』

和樹『ほっ、よかった〜。』

郁美『そのかわり・・・』

和樹『そのかわり?』

郁美『もう一回キスしてください。』

和樹『いっ!?』

少しはにかみながら、目を閉じ、顔をかるく上にあげた

郁美『ん・・・』

和樹『うぅ・・(さっきと違って恥ずかしい)。』

郁美『和樹さん・・・』

和樹『・・よし。』

少しずつ和樹の顔が近づいてゆく
二人の顔は少し赤くなっており初々しい
そして・・・

チュッ

キス・・・
今度のキスは優しくてながくて、お互いを強く感じていた

郁美『んふ・・・』

和樹『・・・』

郁美『・・・あの、チョコ・・取ってきますね。』

和樹『・・・あ、うん(くぅ〜、かわいいな〜)。』

顔を真っ赤にしたままチョコをとりにいった

郁美『・・・和樹さん!』

和樹『なに?郁美ちゃん。』

郁美『一日遅れちゃったけど。
   これ、バレンタインのチョコです!受け取って下さい!』

和樹『うん!ありがとう、郁美ちゃん。
   じゃあ、早速いただくね。   』

郁美『はい!』

かわいいラッピングを丁寧にとり、中の箱を開けた
そこにはハート型のチョコがいくつもはいっていた
どれもちゃんとできていておいしそうだ

和樹『いただきます。』

一つを手にとり、口の中に放り込んだ

郁美『・・・(ドキドキ)』

和樹『・・・(もぐもぐ)』

郁美『・・・(ドキドキ)』

和樹『うん!うまい!甘くておいしいよ!』

郁美『本当ですか!?』

和樹『本当だよ。』

つづけてもう一つ手にとり、口にはこんだ

その様子をみて、郁美ちゃんの顔は一気に満面の笑顔にかわった
それと同時に、握っていた両手を開放して和樹に抱きついた

和樹『うわっ!』

バフ!!

幸い和樹の後ろはベッドだったので事なきをえた
しかし、郁美ちゃんはそんな事はきにせず
和樹の胸の上で思いっきり喜んでいた

郁美『やったー!やったー!
   私、すごく頑張ったんですよ!板チョコきったり、とかしたり。
   何回もやりなおして・・

和樹『わかるよ。だって郁美ちゃんからとても甘い匂いするし。
   雄三さんからも聞いてるよ。台所の掃除が大変だ、ってね。』

郁美『あはは、お兄ちゃんには明日にでもあやまっておきます。
   でも、そんなにチョコの匂いしますか?私。       』

和樹『はっきりと匂うわけじゃないよ。
   こう・・ふわりとするんだよ。  』

郁美『じゃあ!私が二つ目のバレンタインチョコです!』

和樹『え!?』

郁美ちゃんは冗談半分にいったのだが、
和樹は少しまじめに捉えてしまい、雰囲気が微妙にかわった

郁美『あの・・・冗談・・ですよ?』

和樹『そ、そうだよね!?あは、あははは・・・。』

郁美『そ、そうですよ〜。和樹さんのえっち〜。』

和樹『あは・・あははは・・』

雰囲気をかえようとするものの、その努力はみのらない
場所が布団の上なうえに、郁美ちゃんが和樹の上に覆い被さっているのでなおさら


し〜ん


2人の間を沈黙が支配した
和樹が言葉をさがしていると

郁美『・・・あの、きょ、今日は・・和樹さんの家に泊まろうと思う・・んですけど
   (あぅ、別にそんなつもりはないわけじゃないんだけど・・・どうして〜)  』

と、積極的な郁美ちゃん

和樹『あ、うん。夜も遅いし、それが・・・いいかな。
   (ぐは!俺は何を言っている!)       』

郁美『そ、そうですよね!(違う!違うの〜・・って、違うわけじゃないけど〜)』

和樹『お、お風呂入ってきたら?汗とか・・かいたでしょ?
   (待て待て待て待て!冷静になれ!)        』

郁美『え?で、でも・・お風呂入ったら匂い・・とれちゃうし。
   和樹さん・・・どうぞ(私のえっちーー!!)      』

和樹『俺は・・郁美ちゃんが寝てる時に入ったから・・・』

郁美『そ、そうなんですか(うぅ、ドキドキしてきたよ〜)。』

和樹『う、うん。そうなんだ(いいのか!?このままいっていいのか!?)。』

郁美『・・・』

和樹『・・・』

みつめあう瞳と瞳
郁美ちゃんの瞳は少しうるんでいた
和樹の瞳は・・・少し、野獣がはいっていた

郁美『和樹・・・さん(ついに・・和樹さんと・・)。』

和樹『いくみ・・・ちゃん(ついに・・・郁美ちゃんと・・)。』

お互いの顔が近づき、キスをした
同時に、和樹は郁美ちゃんの肩を優しくつかみ、郁美ちゃんの身体をよこにたおした

和樹『郁美ちゃん・・・。』

郁美『和樹さん・・・。』

和樹の手が郁美ちゃんの服を脱がそうと、服に手をかけた
ま・さ・にその時!!

ドカーーーーーーン!!!

和樹『うわっ!!!』

郁美『きゃっ!!』

予想外の出来事にふたりはびっくりしすぎ、かたまる事しかできなかった
2人の顔はこう言っていた、『心臓とまるかとおもった』

何が起こったのか確かめにいこうとしたその時
1人の女の娘がはいってきた

??『ん〜・・・』

一升瓶を片手にもった泥酔者は誰かをさがしていた
まあ、1人しかいないが

和樹『ゆ・・・』

??『おっす!!』

和樹『由宇!?なんできてるんだよ!!』

由宇『なんでって?そんなに暇やからにきま・・・・・おい。
   おんどれは何をしようとしとるんや?        』

由宇はメラメラと怒りのオーラをみにまとっていた

和樹『え!?』

今の状態を再確認した和樹に一気にとびはなれた
郁美ちゃんは・・・今だ動けずにいた

由宇『・・・そこになおらんかい!!』

伝家の宝刀『ハリセン』をもち、そういった

和樹『まて!!これは誤解だ!!
   なぁ、郁美ちゃん!?   』

郁美『え?え〜と・・・あの・・・』

由宇『!!このクサレ外同人がぁぁ!!』

和樹『違う!違うんだ!!』

由宇『問・答・無・用!いいわけすんなーーーーー!!!!』

ばし!!ドゲバシィ!グシャぁ!

和樹『げぶほっふぁ!』

天国から地獄・・・それは地獄絵図のようだった
ようやく正気をとりもどした郁美ちゃんは、えび固めを決められている和樹の元に近づき
ささやいた

郁美『ホワイトデー・・・楽しみにまってますね、色々と。』

和樹『も・・もちろん・・・まかし・・といて!』

郁美『はい!』

由宇『何をこそこそしとるんや!?!』

一層力をこめられた和樹には・・・

和樹『ギブ!!ぎ・・ぶ!ぎぃぃぃぃやあああぁぁ!!』

叫ぶことしかできなかった

郁美『・・・最後がちょっぷり残念だったかな。』

そうつぶやいた郁美ちゃんの顔は、とても・・・幸せそうだった

おしまい


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